Seminar in Behavior Disorders School-wide Discipline: SPED407/507 2/24(水)

 オレゴン大学教育学部の障害児教育学科は全米でも有数の学科で、特に、Sugai博士とHorner博士を中心とした学校全体による取り組み(school-wide interventions)には数年前から注目していました。校内暴力、破壊、薬物濫用、教師への反抗などの問題行動に学校をあげて取り組むプロジェクトが、現在、オレゴン、ハワイ、イリノイ、カナダ(ブリティッシュコロンビア)などの公立学校で進められています。このたび、連邦政府からの巨額の研究費により、オレゴン大学を中心にした全米各地の4つの大学との共同センター、The Center on Positive Behavioral Interventions & Supports も設立され、これから5年間にこのモデルを実践的に検証しようとしています。

 オレゴン大学の遠隔教育は生涯教育学部が担当していて、そちらでは双方向テレビによるマルチサイトでの講義などをしているのですが、今回は、Sugai博士にお願いして、プロジェクトがどのように行われているか、実際に学校に同行して見せていただくことにしました。

 水曜日、シアトルからユージーンへ。宿に着き、電子メールをチェックすると、さっそくSugai博士からのメッセージ。5:30からSchool-Wide Interventions(以下、SWIと略)の講義があるのでよかったら参加しないか、とのこと。疲れたなどとは言ってられないので、さっそく大学へでむく。

 SPED407/507: Seminar in Behavior Disorders School-wide Disciplineは、大学院生とハイレベルの学部生向けの講義。Sugai博士とColvin博士が2人で教える。学生は現職教師、現職のスクールサイコロジスト、カウンセラー、そして教員志望の学生、博士コースの大学院生、全部で24人くらい。SWIはチームによる問題解決アプローチ。授業では3つのチームに分かれて、実際に学校でSWIを行っているかのように話し合いながら演習を進めていく。

 本日のテーマは問題行動に対処する手続を明確にすること。問題行動の対処の仕方についてマニュアルをつくることになる。具体的には次の指示が与えられ、この条件を満たす手続をチームで話し合って決めるように求められる。

 Colvin博士がせっかくだからと、自分をチームの1つに入れてくれる。わいわいガヤガヤと話を進めていく。ステップごとに、チームが経過を報告し、Sugai博士とColvin博士がアドバイスをしていく。自分の入ったチームでは、この地域の小学校でカウンセラーをしているという女性と、博士課程在学中の学生(これも女性)が話し合いをリードしていく。けっこう面白い。

 最終的に出来上がったマニュアルを各チームが発表し、Sugai博士とColvin博士がコメントを加え、さらにColvin博士が実際にプロジェクトを進めている学校の1つから例をとり、紹介する。SWIについては、他にもいろいろ資料をいただいた。日本の学校が抱えている問題の解決に役立ちそうなモデルなので、詳しくは帰国後、コラボネットのワークショップにでもまとめようと思う。乞うご期待!

 この授業では1学期を通してこの演習を続けることで、学校でチームによって問題解決に対処し、問題行動を事前に予防するプログラムを計画、実施するシミュレーションを行う。ちなみに、この授業の様に、2人以上の教官が共同で1つの講義を担当することは、この学科ではよくあるそうだ。理由は、皆、プロジェクトをたくさん抱えていて出張がよくあるので(この学科が全米でも有数だというのは、研究費の獲得額の多さにも表れている)、休講がないようにそのカバーをするため。

 授業が終わったのは8時過ぎ。さすがに疲れた。Sugai博士に最近の論文(まだ投稿中の)をもらう。明日、明後日は、ここから南へ3時間くらいのメッドフォードという街の小学校へ、SWIのプロジェクトに出張。自分もそれに着いて行くわけだが、その前にこの論文を読んでしまわなければならないような気がしてくる。ウーン。